🌿 プルースト コラム🌿
- kunpuu
- 8月31日
- 読了時間: 1分
一体何時だろうと私は心にたずねるのであった、通ってゆく汽車の汽笛がきこえ、その汽笛は、遠くまた近く、森のなかの一羽の鳥の歌のように、移ってゆく距離を浮きたたせながら、さびしい平野のひろがりを私に描きだし、そんな空漠としたなかを、旅客はつぎの駅へといそぐのだ、そして彼がたどっているささやかな道は、訪れてきた新しい土地、不慣れな経験、この夜のしじまのなかでなおも彼を追ってくるよその家のともしびのもとで交した先刻の雑談やわかれの挨拶、間近にせまった帰宅のなごやかさ、そうしたものからかきたてられる興奮によって、彼の回想のなかに深くきざみこまれようとしているのだ。『失われた時を求めて』、マルセル・プルースト、井上究一郎 訳、第一巻、ちくま文庫、p.8
🌿🚂息長い、ひと連なりの文。夢想する列車の描写の美しさ。節のひとつひとつが、車輌の夫々のようでもあり。深夜12時の「私」の夢🕛✨そしてこの夢の中の列車が、いつかポストした『星の王子さま』のなかの、列車を操る転轍手の惑星のお話だったら?と想像してみる。🚂🌿
